monthly diary 2011 /☆Go to Index Page☆/

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2011.09
繰り返す事の美しさ

2011.09_01

全裸に白と紺地の浴衣を着て合わせ目が適当にはだけた女を夜這うような空間に,私は足をおっ広げて寝ている.私が先だ.私が下だ.枕元にはガラスの徳利に酒がなみなみと残っている.ぐでんぐでんに酔って,頭は宙をくるくると回る.身体が交わる.体液が混ざる.互いの体温が,やがて普段より少し高いところで合う.全身を舐め,舌を無邪気に這わしているだけで,心地よく,眠くなる.反面,舌が肌に触れる力加減だけは,唯一残った理性というか,妙にクリアな思考で制御して,ゾクッやビクッを感じる度に,高性能のカーナビのように軌道修正をしている.浴衣の帯紐を結んでつないで胸を張り出させて後手に縛り,タオルで目を隠し,頭上に跨がせるのも時には愉しい.ぐちゃぐぢゃになった襞を舌で崩しては丁寧に舌で元に戻すのも愉快だ.女の股から出る淫靡な香りや水こそ,酒の箸休めとして最高峰の一つ(他に,そもそも飲まない,殻付きの生ボタンエビ,真水,がある)だろう.気づいたら,記憶にはないながら同じ動きを何度も何十分も繰り返した挙げ句に,すやすやと寝ている.朝,残骸を見て,酔いがどんより残る頭で何が起きたのかをどっぷりと推理して,二度寝する心地よさ.結局は繰り返すことで,馴染んでいく.

2011.09_02

2011.09_03

美しき日本の風景.畑を耕し,草をむしり,種を植え,焼いて大地を強くして,実りを収穫して,それを幾年も重ねることにより,風景が馴染んで行く.

2011.09_04


2011.08
等間隔で同じ事

駅のホームに狭く同じような間隔で並んで,利き手の細い指で操る携帯電話の液晶を,少し首を下げて覗き込む女子たち.遠目ながらにスタイルが良く,可愛い.ある程度可愛いからこそ,メールする相手がいるようにも観察出来る――逆にプロの美人は,なかなか自分から連絡なんてしない――.もしかしたら恋愛ゲームに熱中しているだけなのかもしれない.それにしても誰も彼女も携帯をひっきりなしに操作している.操作中の表情は,恐らく本人が意識している以上に変化している.にやりとしたり,はっとしたり,後悔したように見えたり.携帯電話操作に熱中する顔を覗き込み,ついでに液晶を覗き込む悪いクセを見つかると睨まれることがしばしばだけど,公の場で自分の世界に入り込んでプライバシーを厳守したいという願望は,本人が思う10分の1も叶わないで欲しい.

2011.08_01

8/23付オリコンデイリーランキング初登場1位は,AKB48の「フライングゲット」だった.推定セールスが初日で1,025,952枚(要は100万オーバー!!オリコン史上初)でぶっちぎりの首位,2位は同じアイドル枠のV6が28,943枚だから2桁違う.フライングゲットは,メーカー側の指定する正規の発売日より1日以上早く購入する(ゲットする)行為を指す俗語だそうだが,ネーミングはウマいし,「通常盤A(握手券) 」「通常盤A(生写真40種)」「通常盤B(握手券)」「通常盤B(生写真40種)」「劇場盤(握手券・生写真40種)」と,電子情報の楽曲だけでなく,物理的な,ファンとしては温もりを感じられる特典,を同封して売上げを伸ばす商売は素直に凄くウマい.レンタルサービス,違法ダウンロードを含めたパソコン・スマホ・携帯電話上のやり取りで,CD販売の時代は終わったと囁かれてきたここ数年だったが,工夫次第で商機はあるということを示している.さて,手元には,「フライングゲット」を歌うメンバーを決める選抜総選挙の結果が掲載された,6月10日発行のサンケイスポーツ紙がある.結果は1面にでかでかと出ている.同紙の10面には宝塚記念のファン投票結果も載っている.結果を並べると次の通りになる.

順位
AKB48総選挙
宝塚記念ファン投票
1位
前田敦子(139892) ブエナビスタ(97429)
2位
大島優子(122843) ローズキングダム(75098)
3位
柏木由紀(74252) ヴィクトワールピサ(74057)
4位
篠田麻里子(60539) アパパネ(70137)
5位
渡辺麻由(59118) ドリームジャーニー(56143)
6位
小島陽菜(52920) エイシンフラッシュ(46414)
7位
高橋みなみ(52790) ナカヤマフェスタ(41886)
・・
・・ ・・
20位
増田有華(14137) トーセンジョーダン(14523)

「AKB48総選挙」「宝塚記念ファン投票」のファン層はほとんど被らないのだろうけど,ファン数は類似していて,人気の傾向も似ているのが面白い.

2011.08_02  2011.08_03

月末にサントリー白州蒸留所へウィスキーを飲みに行く.土産に買ったHOGSHEAD樽(容量約230リットル)で熟成したCASK 原酒No.CD40732(42/237)は,昨年余市から買って来たシェリー樽(樽番号601034)で熟成した北海道余市市蒸留所限定15年原酒ウィスキ(SINGLE CASK):アルコール分62%には及ばないものの,アルコール分56%の清純・精錬さの中に木香を感じられる逸品だった.カルティエ(Cartier)のマリッジリングを左手薬指に,バカラ(Baccarat)の タリランド(Tallerand)をつまんで,一人書斎にこもって唇に押しあててすする.そんな休日の昼下がりはなんとも贅沢である.


2011.07
米をつまみに日本酒を飲む

2011.07_01

7月から9月まで会社の節電対策で,土日に出社,平日に休む,シフト勤務になっている.そんな中,わざわざ世間的な休日に,競馬のアイビスサマーダッシュの開催日に合わせて新潟に行った.新潟駅に昼前に新幹線で降り立つと,東京とまったく変わらない炎天下を感じる間も無く,タクシーに飛び乗り,玉村豊男著「快食・玉村大飯店」(扶桑社)の『米処,新潟』という章に出ている,金寿ホテル2階の料理屋(実は本に載っている「料亭金寿」は三越に移り,訪ねた海鮮亭羅言は別の店の模様)に向かった.「越乃寒梅・白ラベル」,「緑川」,「真野鶴」の日本酒を地の刺身盛り合わせで堪能し,本当は新米の10月にやりたかった,米を肴に日本酒を飲んだ.日頃,酒を飲みながら穀物は食べないと頑(がん)として,頑(かたくな)に言い張り,焼き肉屋でビールとライス,居酒屋で焼酎に焼うどんを食べる輩に不快感を示しているのだが,一度,新潟で米をつまみに日本酒がやってみたかったのだ.そして,まずまず合った.刺身にわさびをのせ,醤油にくぐらせ,口に運ぶ.余韻が残るところに米を箸でつまんで噛み締める.もう1口ほおばり,固めに炊かれた米がほのかな甘みを残して喉へ落ちたところへ,猪口を唇にあてがって傾け,喉を洗う.さらーと喉を通る清々しい余韻.新潟でこそと思いたい,日頃はやりたくない,飲み方である.競馬を堪能し,夜は,新潟の繁華街・古町の兄弟寿司に繰り出し,鯵のタタキや,バイ貝の握りを摘みながら,「鶴の友」「北雪」「〆張鶴」で喉を潤した.翌日は,古町の更科そば(さだまさしがコンサート後に2度改めて訪れたそう)で,へぎ(片木と書く器のこと)蕎麦をすすりながら,「越乃寒梅」を飲んで,まずは,胃に活を入れる.東新津の秋葉温泉・花水(Casui)で一風呂浴びて,垢擦りでさっぱりした後,長岡に移動し,店の構えと雰囲気で選んだ寿司割烹たなかで,気さくなマスターと越後美人の娘さんとの会話も弾み,鯵の刺身,トロ,そして新潟・村上産の岩ガキ(松島など東北の太平洋側は震災の原発事故影響で・・ということもあり),「厳選辛口・吉乃川」「吉乃川・越後純米」「越乃景虎・龍」に,銘柄を失念した御馳走になった一杯をいただいた.店で意気投合したおじさまと,新幹線の終電ぎりぎりまで,ビストロ深川にお邪魔して(時間を作って再訪したい!),新潟の時間と酒を満喫した.結局,新潟という地では米をつまみに日本酒は飲める,けど,写真にある「石焼アイス」と合わせる気は毛頭起きない.

2011.07_02

新潟駅から繁華街・古町に向かう万代橋の上にて,日本の大河・信濃川を望む.


2011.06
老けつつある世界観

2011.06_01

今月だけで,家だけで,イタリアを中心に,12本のワインを倒した(総額:今月=約24,000円,三ヶ月累積=134,000円).バローロ,キャンティ,等々.引き続いて禁酒なんてどこ吹く風になってしまった.三ヶ月でフランスワインを43本,2日に1本弱を空けたことになる.予定通り,フランスとイタリアワインが,身銭の減少分,身に染みたので,ワインを立て続けに飲むことについては,小休止する予定である.さて,スペインに,シェリー酒とスペイン・ワインを飲むために行きたいけれど,仕事が忙しくなって来て,纏まった休みが取れない.年内は継続して忙しそうなスケジュールだ.「余暇を楽しむ」ことを生き方の指針の一つにしているけれど,余暇が楽しめているという状態は,詰まるところ,本業の仕事がメリハリがあって充実している土台に成り立つ.余暇に身銭を注ぎ込める稼ぎが必要だし,余暇の楽しみに少なからず酒を求めている以上,本業が堕落していたら,飲み屋でたまに見かけて嫌悪を覚える,愚痴をこぼしながら管を巻く酔っぱらいの姿が,そっくり自分になってしまう.小一時間であっても,一人,店のカウンターや,家のソファに腰掛け,日本酒・ワイン・ウィスキー・ラム・焼酎,ありとあらゆる酒の瓶を傾け,ガラスのグラスに注ぎ,沈思黙考を決め込む余暇は充実している.妙に頭の中がクリアになって,脳みその襞(ひだ)が鼓動を打つのを感じ,シナプスが靡(なび)く気がする.極めて冷静な状態であれやこれやと頭をめぐり,かたや,客の話し声や,クーラーから出る送風が白竹の緑の葉を鳴らす外音が,耳から入って来て,思考を何もさまたげずサッと消える.結局スペインに行っても,酒は風土に活き,作られたその地で飲むのが一番だ,という正論に納得するプラスアルファに満足しながら,ボデガ(シェリー酒の酒蔵)やバルに繰り出して同じことをするだけなのだれけど.

2011.06_02

角川文庫のサタミシュウの小説が面白く,発売される度に,即,購入し,読んでいる.表紙のランジェリー姿のグラビアや,タイトル(「ご主人様と呼ばせてください」「私の奴隷になりなさい」「おまえ次第」「はやくいって」「恋するおもちゃ」)が示す通り,官能小説である.極めて身の丈というか,リアリティのあるエロスがすっと入ってくる.団鬼六の描く赤い着物のしごきで後ろ手に縛るのも十分にリアリティのあるエロスに感じられるようになってしまったけれど,サタミシュウのエロスは,ありそうで,やりたくて,でも実際は少しだけ手が届かない世界観を見事に描いている.


2011.05
ぬるくもあつくも

2011.05_01

今月だけで,家だけで,ボルドーとブルゴーニュを中心に,15本のフランスワインを倒した(総額:今月=約53,000円,二ヶ月累積=110,000円).オーブリオン,メドック(ポタンサック),シャンベルタン,そしてヴォーヌ・ロマネ,等々.結局のところ禁酒なんてどこ吹く風になってしまった.二ヶ月でフランスワインを30本,2日に1本を空けたことになる.その間,つぶ貝をあてに熱燗,生ウニを肴に冷酒を,シロとカシラを2本ずつどっぷりとタレで焼酎を,ホルモン炒めを傍らに紹興酒を,ジンギスカンにホッピーを,等々,愉しんでいるわけだから.

2011.05_02

久々に仕事が忙しくなりそうである.ぬるま湯は大好きだけど,長湯を長時間したつもりがそこまで慣れきっておらず,急な刺激を,まだ喜んで体が受け入れてくれたことは嬉しい.それでも向上心や勉強に使う時間は雀の涙ほどで,一瞬の切れ味で目立ちたい精神を発揮してしまう.ズドンとどっしりと重く静かに,周りにジワーッと効いてくるような時間を過ごしたいものであるが,これは性格(というか個性)なのだろう.さて,忙しい中の一杯,午後休でもとって,焼き鳥屋に繰り出し,同僚の仕事模様もほんの少しアタマにかすめながら,それさえも愉悦なる肴にして,隣に座ったおっちゃんや老夫婦と雑談しながら過ごす時間は,なんとも素敵である.


2011.04
順不同か?順番なのか?

2011.04_01

今月だけで,家だけで,ブルゴーニュを中心に,15本のフランスワインを倒した(総額:今月=約57,000円).プイィ・フュイッセ,モンラッシェ,シャンベルタン,シャブリ,ムルソー,等々.相変わらず禁酒なんてどこ吹く風になってしまった.2日に1本を空けたことになる.整然と並べた空きボトルを眺めると,倒したワインの分が,サラサラと血液を流れ,べったりと毛穴に染み込んだ感じがして,心地が良い.

2011.04_02

品川区で見かけた選挙用のポスター掲示板がふと目に留まる.届け出順に1番から番号が振られるが,各所に設置された掲示板の番号はランダムで,有権者に対して目に付く度合いを平等にしているということだろう.立候補者が数人しかいなかったら,まばらにポスターが貼られ,滑稽だろうなーと想像した.しかし,これは裏を返せば,そうならない確信が選挙管理委員会にはあるはずだからで,つまり,60人近く立候補する事があらかじめ分かっているのだ.区議会に60人もいるのだろうか?会議参加者の数を増やせば公平さが増すのではなく,右へ倣えの,魅力に欠く決議になることが多いのは,どこでも一緒だろうに.

2011.04_03

理路整然と並ぶ一斗(十升)樽の酒たち.力強さがある.ラベルに歴史と趣きが有る.そして,味わえば分かる人(要は飲ん兵衛)には分かる違いと個性が光り,喉を鳴らす.同じ60程度でも,こんなメンバで会議をすれば,纏まりに欠くこともあるだろうけど,主張と緊張が程よく張った,魅力的で有意義な時間になるだろうに,と,日頃の仕事の日に数回に及ぶ会議卓の光景を思い出し,苦々しく思う.

2011.04_04

そして,桜のような華があり,毎年決まった時期にきちっきちっと咲く,そんなチェアマンやタイムキーパーが会議を仕切ってくれればと,だらだらと時間だけが過ぎ,結論は先延ばし,持ち帰って関係者に確認の上次回に回答する,が飛び交う会議卓の光景を思い出し,少しため息が漏れる.会議の事など露も思わず,携帯で写真を撮って,ふとhtmlに並べてみると,日頃の鬱憤が染み出てくるから,たまに日記をつけるのは面白い.

2011.04_05  2011.04_06

平日に休暇を取れたので,何とは無しに,鶴岡八幡宮へ足を運ぶ.頭の中では小町通りを入ったところに座す焼き鳥「ひら乃」の樽酒とタレの香ばしい薫りが充満しているのだが.さすがに悠然とした境内で,緑が深い.山の数え方は「座」であるけれど,老舗の,その地に長く居を構えた飲み屋は,どうも愛着と尊敬を少しだけこめて「座す」と表現したくなる.座で表したい飲み屋に,これからも身銭を切って出会い続けたいが,新しく開拓する楽しみに対して,通う愉しみもあり,誠にひと時の嬉しい悩みが毎夕に訪れる.


2011.03
地震・雷・・・は本当に

2011年3月11日午後,出張先のYRP(神奈川県・横須賀市)から,夕方の東京での打ち合わせに向かうため,京浜急行の駅へバスで急ぐ.トンネルを抜け,信号を待っている時だった.バスのサスペンションが存分に伸び縮みする,揺れ.頭がくらくらする.「東北地方太平洋沖地震」→「東北・関東大震災」→「東日本大震災」と,宮城から始まり,茨城/岩手,千葉/長野と,余震を伴って震源地の範囲を拡げ,名称を変えて行くことになる大地震の発生である.静まった時に顔を上げると,目前の信号機は光を失っていた.停電発生である.突如,鳴るバスのラジオ.『宮城県沖で大規模地震が発生』の第一声がザーザーとスピーカから入る.ガラガラの車内で,優先席の横に座ったおばさんと,「大丈夫ですかね?」「すぐ,復旧するんじゃないですかね」と会話をした.突発的な出来事は,一体感という空気を伴って他人との距離をグンと身近にしてくれるものである.運転手が,信号が機能していないが,とりあえずゆっくり駅まで向かう事を車内アナウンスで宣言して,バスは進んだ.どこもかしこも一帯が停電している.無論,到着した駅までも.「震度6以上の地震が起きると,法律で電車は終日止めなければならない.JRさんも状況は把握出来ていないが,同じはずだ」というような,駅員の説明を聞く.え?震度6って言いましたか?と,半信半疑で,まだ,数時間で復旧するだろうと楽観視している私.まずは,停電している駅前のKEY COFFEEで,停電していてもまだこれだけは出せると言われたアイスコーヒーで喉を潤し,マスターの兄さんと,100%推測と希望的観測の会話で30分ほど時間を過ごす.携帯電話は繋がらない.駅前に戻ってみても,電車は復旧していないので,更なる時間つぶしをと,杉花粉が舞う外を数分歩いて,野比海岸へ出た.海は穏やかである.ただし,地震に関係なく風は強い.やはり,信号機は止まっていて,その中を車がびゅんびゅん走り抜けて行く.

2011.03_01

駅前に戻ってみても,電車は復旧していない.駅前のコンビニは閉められていたので,少し歩いて,開いていたセブン・イレブンに入る.停電している当街の近隣住民で店内は溢れ返り,乾電池,水,弁当,ホッカイロが飛ぶように売れている.客単価は5,000円オーバではなかったろうか.ぼろ儲けである.私は,白州ウィスキーの小瓶と,あたりめ,タバコ(ハイライト・メンソール),貼るホッカイロを買う.余裕が無い時こそ,嗜好品が身に染みるだろうという,魂胆である.18時を過ぎ,停電した街は文字通り真っ暗になってきた.「数時間で復旧するだろう」が正に楽観視だった現実を,まだ肌寒い3月の夜風と共に突きつけられ,隣の久里浜駅まで歩き出す.距離は4キロほどで,YRP野比駅に比べると大きな街だ.道は車で大渋滞し,女子高生やら,お年寄りやらが,暗い道を行き来していた.渋滞のため,車の進むスピードは,ヒトが歩く速度と大差ないありさまである.ガソリンスタンドも閉まっているだろうから,ガソリンが切れたらアウトだろうな,と,他人の不幸に頭を巡らして,自身の疲労の余裕を作り出した.どうにかこうにか,久里浜駅に着いた.やはり真っ暗である.見上げるとオリオン座が綺麗に輝いている.星はいつになく輝いているが,オリオン座しか名称を知らないのだ.駅前は,移動たこ焼き販売車の看板が発する光と,大概のヒトが繋がらない携帯電話で発信を繰り返し試みて,それにより生じるか細い液晶画面のライト,ただそれだけが光っていた.たこ焼き屋には,真っ暗闇の中を長打の列が出来ていた.ぼろ儲けである.不安で一杯の中,あったかいものを喉を通したいという切なる気持ちはよく分かる.その脇を,あたりめを噛み締め,ウィスキーの瓶に口をつけて,琥珀色の液体で喉を鳴らして,通り過ぎた.なんとも気持ちがよい.

2011.03_02

JRの久里浜駅は,京急と違い自家発電しているようで,最低限の照明はついており,それなりにヒトがたむろしていた.まだ19時である.なんとも寒い.ウィスキーを堂々と飲みながら横目でちらちら人々を見るが,「途方に暮れた」という言葉がしっくりくる画である.なかなか目にしない経験だ.「衣笠まで行けば電気が来ているらしい」「渋滞で横須賀から車で出るのは困難らしい」の声が漏れ聞こえて来た.普段のJR久里浜駅のロータリは,タクシーに乗り込む光景は皆無で,数台のタクシーが暇そうに停車している.今日は真逆,暗がりの中を,何十人と群衆が列を作り,来るあても乏しいタクシーを,手をこすり合わせてわずかな暖にしながら,待ちわびていた.駅前に立つ地図を見ると,衣笠駅は縮尺が書かれた図の範囲外で,横須賀線でも10分ほど乗車していた記憶があったので,久里浜からの距離は10キロ近くあるのかなと考える(実際は後で調べたら6分,営業キロ4.6Kmだった).『衣笠 飲み屋』で携帯電話からGoogle検索をして,最初にヒットしたチェーン店「笑笑」に電話をしたところ,「営業しています」と即答だったので,「衣笠まで行けば電気が来ているらしい」の情報は信頼出来ると確信し,歩き始める.コンビニもマクドナルドもサイゼリアもニトリもホームセンターも,134号の道沿いの店はどれも光を失っていた.30分ほど歩いたところで,偶然にも信号で停車している「空車」と赤い光を誇示するタクシーを目ざとく見つけた!即,乗車し,車内でウィスキーを飲みながら「上大岡」へ向かう.丁度,横浜横須賀道路の閉鎖が解けた直後だったようで,すいすいと上大岡のインターまで車を飛ばし,有料道路を降りた後は多少の渋滞に捕まったものの,無事,いつも通り明かりに溢れた上大岡駅前に着いたのだった.「渋滞で横須賀から車で出るのは困難らしい」の事前情報を地でいってくれて,下道で横須賀の大渋滞に捕まっている同僚や,店のテレビから流れる「東京が帰宅難民で溢れている」という情報を目にしながら,「上大岡タンタン」でビールに焼きそば,立ち飲みどころ「国民酒場あさひや じぃえんとるまん」で冷酒にレバ刺しをちんたらと流し込み,悠々と過ごした.上大岡駅から15分ほど歩いて,お世話になる知人の家の電気が灯ったとき,とりあえず勝った,と思ったのだった.

翌朝,新聞やニュースで地震による津波,火事,原子炉の爆発,死者,行方不明者,跡形も無い街,ころころ転がる車,たゆむ道,ずるずる流れる家々を見た.地震は恐い.そう言えば,先週(2011年3月2日)私は,茨城県の海外沿いの大洗で,アンコウ鍋に舌鼓を打ったのだった♪♪♪♪

2011.03_03

家のレーザーディスクカラオケで千昌夫の「味噌汁の詩」を歌った.歌詞に出てくる『陸前高田』は千昌夫の生まれ故郷であり,この度の地震が引き起こした津波により壊滅している.


2011.02
黄色ぉ

2011.02_01

今をトキメク,恋愛禁止がルールのAKB48の一員,北原里英から,世界中で男女の愛の誓いの日とされるSt. Valentine's Dayの2月14日に,チョコレートを手渡された!!

さて,先月末には台湾とベトナムへ行った.ベトナムを訪ねたことで,インドシナ半島は,ミャンマーを除いて,ラオス・タイ・カンボジア・ベトナムと4カ国を歩いたことになる.ひたすら美味い飯を食べ,台北とホーチミンの街を歩き,マッサージ(足ツボ・ストーン・サウナ)三昧だった(旅行記←クリック).さて,地球の歩き方などガイドブックの末尾にも載っているが,独自に海外に持って行く持ち物チェックリストを作っている.その項目は次の通りだ.
 【服装】:乾きの早いT―シャツ,シャツ (長袖 or 七分袖),ジャケット(ハンカチ/ラジオ(兼目覚まし時計)/小型手帳/ターボライター/煙草/金(現地通貨)/トラベラーズチェックの番号控え/パスポート/Boarding Pass or E-ticket),ズボン,靴下,革靴,腕時計
 【鞄中身】:金 (現地通貨残り半分+200ドル程度(空港or大使館/領事館に着ける程度)のトラベラーズチェック+日本円),石鹸(洗濯/髪洗いにも使う),歯磨きと歯磨き粉,タオル,綿棒,薬(パブロン/正露丸/目薬),洗濯バサミ,紐(兼簡易物干竿),鼻毛きり鋏,着替え (靴下/下着 各1),ティッシュ又は使いかけロールペーパ,ハンカチ1,カメラ,小さいマイナスドライバー,鞄のファスナ綴じ兼ワイヤー式の鍵,本,小さいノートと現地の地図と事前準備メモ,ペン
 【あると便利】爪切り,折りたたみ傘

帰りの土産を入れて,ブリーフケースに収まる量である.そして,過去の海外行き全てにおいて,肉体と共に皆勤賞なのは,写真の『鞄のファスナ綴じ兼ワイヤー式の鍵』だけ.気休めであっても,移動中,鞄に鍵がかかり,寝ている間,鞄を柱にワイヤーで絡めて固定して置ける,派手な黄色のワイヤーの色合が素敵で,安心感を提供してくれる逸品である.

2011.02_02

台湾とベトナムは旧正月(春節)があり,2011年は2月3日〜2月5日だった.その直前に帰国したが,日本の2月3日は節分である.仕事の移動時間に,雉子(きじ)神社で甘酒を飲み,袋福(豆)をもらい,居木神社で菓子をもらった.五反田と大崎に座す神社で,いずれも地元の方が大勢集まっており,地域に根付いた伝統行事の光景を見た.はしゃぐ子供たち,延々と話す主婦たち.そして,子供たちが甘酒をすする姿を見て,アルコールが入っていないことで決着を見た.昔から疑問で大して調べもしないままだったのだ.アルコールが入っていない濁り酒であるが,濾(こ)しが甘いので胃に白濁した液が溜まり,気持ちがどんより澱むことに違いは無い.

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さて,「黄色が好きだ」.酸っぱい,唇を窄(すほ)める感じ,わくわく感,前向きさ,ヒタムキさ,ドエロの手前のエロ,ちょっとしたガツガツさ,吸い込まれ,目につき,時にはがっかりし,でもチラチラと見る魅惑,焦点がぼやけ,ピカチュウでもゴッホでもライチュウでもヒマワリでも.「黄色が好きだ」.ラッキーカラーと主込むのも自由であろう.C.P. Companyの黄色のカーディガン.あったかいのである.女で山吹色や,発色がよいブルーが似合うのは一握りであり,もし,着こなせなければ,自制しろ!その思いはある.しかし,私は「黄色が好きだ」.堂々と,C.P. Companyの黄色いカーディガンを身に包(くる)ませて,私は,途(みち)を闊歩(かっぽ)するのだ!!

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2011.01
我慢を排する?

2011.01_01

「慢」をWikipediaで調べると,『他人と比較して思い上がること』とある.同じページの記述によると,「我慢」とは『我が身をのみ頼みて人を侮るような心を指す』そうだ.我慢は,日常的には,己の欲望を抑えると言った,割と肯定的な意味で使っていたけれども,どうやら悪い行い,欲望や煩悩そのものを指すようだ.さて,2010年は一日も欠かさずに酒をすすり続けたが,2011年は新年会など,酒の席・宴を除いて,禁酒する予定である.健康に気を使っていることもあるし,春先の花粉に備えている気持ちもある.中でも,禁酒による自分のカラダの変化を愉しみたいという思いが一番強い.その他,全般の行動や思考に渡り,欲望を適度に抑え,昨年までに比べてメリハリをつけて,種々の選択をしていくことを抱負にする.

元旦は,江ノ島に初詣に出掛けた.冒頭の写真は,由比ケ浜・逗子・葉山方面を望んでいる.もし,写真に違和感を感じたなら,江ノ島のヨットハーバや,湘南の地形が頭に描けるヒトだ.そう,画像を垂直方向に反転している.江ノ島から西の伊豆半島を望めば,写真のように左に行くに従い奥行きがあるが,東の三浦半島を見た場合,地形は右へ,時計の9時の位置に立って12時方向を見たように湾曲している.この違和感が気に入ったので,携帯カメラで撮影した横向き画像を縦向きに直す回転をする際に,誤って垂直方向へ反転する操作をしたままで載せた.

2011.01_02

江ノ島の参道で滞在中に丁度火事が起きた.食堂から出火したようで,黒煙が立ち上り,消防車・救急車・パトカーが駆け付け,初詣客の通り道である参道は一時閉鎖された.閉鎖が解かれた情報を得てはいないが,参道全体や島全体が全焼なんて事は無く,閉鎖は一時的なものだったに違いない.「一時」と記載したのは,正確には,確度がメチャクチャ高い推測だ.さて,参道を通れないので迂回路で帰路についたが,同日の夕や,翌日朝のTVニュース・新聞・ネットニュースでの取り上げは皆無だった.鳥取の大雪で600台の車が立ち往生したり,どこぞの年寄りが毎年のようにモチを喉に詰まらせたり,という情報はよく見かけたが,江ノ島の火事は住民と土産物屋や飲食店,旅館,そして初詣客,の数千人規模で影響が出たはずである.初詣「客」と書いたように,翌日の箱根駅伝のコースに近く,初詣の時期は観光地としてまさに書き入れ時のため,県なり,観光協会なりがマスコミに働きかけて情報を載せないようにしたのだろう,と推測した.江ノ島では,ローラーバランスを得意とする大道芸人TOMIのパフォーマンスを楽しみ,1,000円の値を付けた. 15年の努力を惜しみなく見せると一々(いちいち)態々(わざわざ)口にしたうえで,芸を披露していた.プロが過程や努力を口にする事は恥ずかしいという印象を持っているけど,話芸含めて大道芸のパフォーマンスの一環だとは言え,自身の自信の表れにも取れるものだな,と感じさせてくれた事が,パフォーマンスの何倍も心に残っている.