アイルランドへ酒と競馬を求め

2010年6月末,昨年訪ねた「ベルギー」と並んで私の中のビールの双璧である「アイリッシュ」ビールを飲みに,ただそれだけを目的のほとんどに,アイルランドを訪ねた.アイリッシュウィスキーも当然,目当てにした.結局,とにもかくにも,まず酒!!

ほとんどの時間をパブやバーで過ごした.一般には,バーテンダーがいるのがバー,いない大衆酒場がパブなのだろう.私の中の言葉の響きのイメージにおけるパブとバーの違いは,パブは「茶やセピアのとろける雰囲気を漂わせる」,バーは「クリアで,少し青みがかった凛とした空気がある」と言ったところになる.丁度10年間,酒場に通い続けるうちに,店が持つオーラを感じられるようになった気がする.

地元民の空気にとけ込むことを最優先に,たらふく飲みながら,コンパクトなAPSのフィルムカメラを携えて,気づいたらシャッターを押した.滞在期間に丁度開催があったアイリッシュダービーを含め,写真を中心に紀行の様子を記す.


【目次】
1. ダブリン
2. パブの様子
3. 飲んだ酒たち
4. 北アイルランド行き
5. アイリッシュダービーへ


【アイルランド地図】
Ireland Map


【1. ダブリン】
もうじき,2010年7月から,紀子様の娘・眞子内親王が,ユニバーシティー・カレッジ・ダブリンに留学なさる.1854年に設置/創立だから,1877年設置の東京大学よりも少し古い大学だ.ジェイムズ・ジョイスを輩出しているが,不勉強で『ユリシーズ』は未読である.ダブリンのある1日(1904年6月16日)に起こった出来事を,意識の流れなどの実験的な手法を用いて描写した20世紀を代表する名著である,という上っ面の知識だけであり,読了済みであれば,ダブリンから見える景色も違っただろうか.

写真は,1592年に設置された伝統あるトリニティ・カレッジである.北緯が高いダブリンの夏は,22:00を過ぎてもまだ日が暮れない.カレッジを訪ねたのは20:00頃で,学生の数はまばらであった.伝統ある大学構内が,歩く人々を聡明そうに見せてくれる.

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ダブリンは縦横無尽に隈無く歩いた.司馬遼太郎が『街道をゆく30 愛蘭土紀行1』(朝日文庫)で書いている,『人を漫(そぞ)ろにさせる』オコンネル通りが素晴らしい.同著には『建物の背丈がうんとひくいために,アイルランドらしいガラス絵のような空が大きく見えている.』とある.リフィ川に沿って走るトラム(路面電車)は当時なかったろうが,20年前に司馬が書いた描写と,何ら変わらないであろう景色が見えた.本当に高い建物がない.つまり,新しい建築ができていない.こういう比較は楽しい.

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煙草をくゆらせ,ベンチに腰掛けて,日が暮れるまでぼーっとする贅沢.ただそれだけなのに飽きさせない.雲の移ろいを眺めるだけでもいい.道行く人をジーっと観察するだけでもよい.オランダやベルギー,イランやトルコの各都市は,「広場」を中心に街が構成されていた.対してダブリンは,オコンネル通りと,リフィ川沿いに走る数本の「通り」が骨格をなしている.にしても,通りに子供が驚くほど少ない.

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【2. パブの様子】
撮影した写真全部を並べると,大半がパブでの写真だった.それだけ,パブに入り浸り,酒をあおっていたわけだ.アイルランドは文学の国で,絵画を筆頭とした芸術面に特筆は乏しく,これと言った美術館がなかったことも,昼夜問わず足を終止してパブの軒先に向かわせた.博物館やら記念館で,事前の歴史に対する勉強不足を棚に上げても,無味乾燥な無機物を眺めるより,黄金色に輝き,褐色に淀むグラスを手に,現地の人間と会話することがよっぽど性に合うし,わざわざ現地に足を運ぶ価値を感じてしまう.おじさんたちは本当に陽気で,知らない人とでも,酒を酌み交わすと同時にすぐ笑顔になって,おいしい空気を共有するのがうまい.

電車の乗り継ぎ待ちで立ち寄ったコーレインのパブの注ぎ手.アイルランドのパブの人は昼からやっているだけに本当に飲ん兵衛ばっかりで,顔が赤らんでいる.ビールを注ぐときの真剣な目に浮かぶ,嬉しそうな瞳を見ると,グラスを受け取って飲む前から,本当に喉が鳴る.

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1608年にジェームズ1世から免許を授かった,最古の公認蒸留所であるブッシュミルズ蒸留所のバーにて.ツアーの最終到着地で,参加者はここで入場チケットと引き換えに一杯のウィスキーを飲めるという流れだ.ツアーでは右の金髪の赤シャツお姉さんにガイドをしてもらった.私の英語の説明が早くないか,ちゃんと理解出来ているか,と気にかけてくれる,話し好きのガイドさんだった.

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パブのテレビでは,W杯やウィンブルドンの開催期間ということもあり,サッカー,テニス,競馬(障害競走が盛ん),カーレースと,スポーツを流しっぱなしにしているところが多く,客は選手の一挙手一投足に対して議論し,賞賛や批判を行う.みんな陽気で,子供を抱えたパパの姿もよく目にしたものだ.

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たいがいのパブでは,おじさまの6人以上の集団が,テーブルの一角を占拠し,あれやこれや喋る風景がある.馴れ合う感じはなく,思い思いキリっとしているのだけれど,誰かが話し始めると,皆,等しいバランスで,歯切れよく,口を挟み,会話が躍動しているのがなんとも素敵である.

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W杯期間ということで,各国の国旗を壁や天井に吊るしているパブが多かった.日の丸も♪.並ぶ国旗,異国を訪ねている高揚感,カウンタにそびえ立つビールサーバ,棚に列挙されたボトルたち,そして,愛すべき愛(アイルランド)の常連客が加われば,なかなかこれに勝る旅行冥利はないと思う.

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泊まったダブリンのホテルの1Fのバーで,日本ーデンマーク戦を観戦した.この後,本田が,遠藤が,岡崎が決め,3-1で勝利することに.私が日本人と知ると,客たちは自国のことのように喜んで,祝福してくれた.アイルランドもヨーロッパの中堅としてサッカーは強い.あまりに不甲斐なく予選リーグで敗退したフランスのアンリが,「意図の手」で,アイルランドとの本戦出場をかけた決定戦で得点していなければ,アイルランドが日本と当たっていたかもしれない.

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日中からパブで書類を広げて,覗き込んで,顔を赤らめて,仕事の打ち合わせをしている紳士たちをよく目にした.その様子を,酔いどれの心でもってぼんやり眺めている自分に対して,何ともいえない微笑ましさを覚えた.羨ましさの裏返しである.

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パブでの私のつまみは,スモークサーモン(英語ではスモーク"ド"と発音しないと通じない)に尽きる.ネトっとした舌ざわりが,コクの固まりである,ギネスやビーミッシュと言ったスタウトーー黒くなるまでローストした大麦を使い,上面発酵によって醸造したビールーー,と相性抜群で,ついついうとうとと心酔してしまう.

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左の写真はダブリンのパブ,右はロンドン(ヒースロー空港)のパブである.共通点はどちらもW杯のサッカーの試合を見ている点にあり,どちらもビールのサイズはPT(Pint: 1PTが568ml)で注文する点にある.そして,どちらも,腹が出た,白人のおじさんたちの憩いの場である.

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「ギネス・ワールド・レコーズ」(Guinness World Records)の生みの親でもあるギネスビール,そのギネスストアハウスのバーにて.ツアーの最終到着地で,参加者はここで入場チケットと引き換えにギネスビールを飲めるという流れだ.見学中にガイドは付かない.ビールの注ぎ手は,ダブリンの観光名所ということもあり,国を代表してか,綺麗どころを揃えている.8分目注いだら液体が沈み,クリーミーヘッドと称するきめ細かな泡が上面に固まるまで2分待って,再度注ぐのだ,とビールができるまでの2分少しの間に丁寧に説明してくれる.ギネスは黒に近い色を讃えているが,底の方を明かりに照らすと,その部分だけ光が透過し,赤く透けているのが,なんともエロチックに見えた.ダブリン市内を360度のガラス張りの窓から一望できる中,ぐるりと一周空中散歩をしながら,喉に胃に流し込むギネスのコクは,長く素敵な余韻として残る.

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【3. 飲んだ酒たち】
思い出して最初に浮かぶ言葉は,「ぷはーっ」!.ギネスが,ビーミッシューが,スミスウィックが,キルケニーが,スタウトやエールーー酵母を常温で短期間で発酵させ,複雑な香りと深いコクを出したビールーー,の渋みが舌の付け根から喉を通り,腹からは歓喜が逆流する.日本のビールや,アイルランドで飲んだハープと言った琥珀色のビールをごくごく飲むのも,1杯目としては悪くない.でも,どんより,どんより,グラスを重ねるには,ラガーやピルスナーでは物足りなさを覚える.

BUSHMILLSとJAMESONで飲んだ,IRISH COFFEEの芳醇なウィスキーと砂糖が織りなす甘みの感触が,長く舌に残っている.JASMESONのレシピは次の通り."Place two teaspoons of Brown Sugar into a glass. Add 1 measure of JAMESON. Fill to within an inch of brim with hot black Coffee. Stir well to dissolve sugar. Carefully float a collar of Cream to just below rim of glass."

〓〓 1日目 2010/6/23 東京→Dublin 〓〓
Yebisu 大成田空港 銀座LION1000JPY
SAPPORO Beer×2ANA機内Free
Premium MaltsANA機内Free
1PT CARLINGHeathrow空港ロビー内Bar3.4GBP
1PT STELLA ARTOISHeathrow空港77-GatesのBar3.5GBP
Carlsberg ExportsAer Lingus機内5.0EUR
1PT GUINNESSFitzgeralds Bar4.45EUR
1PT GUINNESSArlington Hotel’s Bar5.0EUR
〓〓 6/24 Dublin 〓〓
1PT GUINNESSGUINESS STOREHOUSE15EUR(Fee込み)
1PT SMITHWICK’STHE BRATHEN HEAD Pub3.7EUR
HOT WHISCHYJAMESON Distillery6.5EUR
Distillery Reserved 12years oldJAMESON Distillery6.0EUR
IRISH COFFEEJAMESON Distillery6.5EUR
1PT GUINESSDAVY BYRNES Pub4.65EUR
1PT GUINESSArlington Hotel’s Bar5.0EUR
〓〓 3日目 6/25 Dublin→Belfast→Portrush 〓〓
1PT HARPRobinsons Bar @Belfast3.35GBP
1PT “T” (TENNENTS LAGER)Crown Liquor Saloon Pub @Belfast5.0GBP
1/2 PT HARPThe Kitchen Bar @Belfast1.75GBP
1PT Belfast AleThe Kitchen Bar @Belfast3.2GBP
1PT HARP COLDRONNIE DREW’S Pub @Belfast2.75GBP
1PT GUINESSTHE COUNTIES CAFE BAR & RESTAURANT @Portrush3.2GBP
〓〓 4日目 6/26 Portrush→Bushmills→Coleraine→Dublin 〓〓
50ml BUSHMILLS(40%)BUSHMILLS Distillery6.0GBP(Fee込み)
IRISH COFFEEBUSHMILLS Distillery3.95GBP
1PT HARP ICE COLDJohnstons Bar @Coleraine3.9GBP
GUINNESS DAUGHT(440ml/4.2% vol)Coleraine→Belfast 鉄道内3.5GBP
1PT SMITHWICK’STHE BRATHEN HEAD Pub4.7EUR
1PT KILKENYTHE BRATHEN HEAD Pub5.5EUR
1PT BEAMISHMOHUGHES Pub3.7EUR
〓〓 5日目 6/27 Dublin 〓〓
1PT HeinekenTHE GALWAY HOOKER BAR @Dublin Heuston駅4.6EUR
1PT GUINNESSTHE GALWAY HOOKER BAR @Dublin Heuston駅4.3EUR
1PT SMITHWICK’STHE GALWAY HOOKER BAR @Dublin Heuston駅4.3EUR
BULMERS(330ml/4.5% vol)Curragh競馬場5.0EUR
1PT COOLS LightCurragh競馬場5.0EUR
1PT BEAMISHCurragh競馬場4.3EUR
1PT GUINNESSCurragh競馬場4.6EUR
1PT HeinekenCurragh競馬場5.0EUR
Glass HeinekenTHAI ORCHID Restaurant3.5EUR
1PT GUINNESSSHEEHAN’S Pub4.75EUR
〓〓 6,7日目 6/28,29 Dublin→東京 〓〓
1PT GUINNESSJ Bar @Dublin空港4.7EUR
1PT KILKENYJ Bar @Dublin空港5.1EUR
1PT HARPJ Bar @Dublin空港6.1EUR
1PT BEAMISHBRASSERIE Bar @Dublin空港4.5EUR
1PT GUINNESSGATECLOCK @Dublin空港4.7EUR
1PT BOMBERDIERTHE THREE BELLS Bar @Heathrow空港3.5GBP
1PT ADAMS THE BITTERTHE THREE BELLS Bar @Heathrow空港3.35GBP
1PT STORONGBOWBRIDGE Bar @Heathrow空港3.6GBP
Asahi Super Dry×2ANA機内Free
日本酒 常温/ぬる燗/熱燗 4合神田まつや2600JPY
Bottled GUINNESSトプカ480JPY
Chivas RegalピカソFree

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【4. 北アイルランド行き】
北アイルランドへはブッシュミルズ・ウィスキーを飲みに行く.浦沢直樹の連載作の処女作『パイナップルARMY』(小学館)に,「エレンの憂鬱」という好きな作品がある.舞台はアイルランド北部のスライゴー,同短編の主人公のキャロルは北アイルランド・ベルファストでIRA(Irish Republican Army: アイルランド共和軍)の活動を取材するカメラマンという舞台設定だ.実際に訪ねた風景は,同作の描写そのもので,遮蔽物がまるでない,穏やかな黄緑した丘が続く土地であった.反面,時代が経ち,ベルファストにはIRAと言った危険な匂いは感じられず,人は穏やかに酒を飲んで暮らしている.でも,強引に北アイルランドの人に,先入観から憂鬱感を重ねて覗き込んでしまった気がする.そんなフィルターで見ると,ついつい空気もにわかに重く感じた.

北アイルランド北部の港とビーチを讃えたポートラッシュからバスに乗る.ダンルース城で降り,城内をぐるりと回ったあと,地図で4Kmほどだったため,ブッシュミルズ蒸留所までは徒歩で向かう.海岸線の気持ちのよい道を歩きながら振り返ると,ダンルース城の先にーーその間にはゴルフ場や,障害競馬の練習場が広がるーー,ポートラッシュの白い浜が望める絶景地に巡り会った.ブッシュミルズ蒸留所からさらに4Kmほど歩くと,六角形の石柱群が海岸線に広がる世界遺産「ジャイアンツ・コーズウェー」があるが,ヒトが介在しないーーヒトが守る必要はあろうがーー自然遺産への興味は希薄で,あっさりと訪問を見送った.

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ベルファストの街並と,ベルファストから北部へ向かう電車の車中でシャッターを押した.北アイルランドは難しい顔をして,男は髪を短くそり込み,女は男と一線離れて暮らしているという,ものすごく偏ったイメージを持っていただけに,次々と目に映る現実とのギャップを頭で埋める作業はなかなかに,楽しかった.

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ポートラッシュのビーチにて.白く長い砂浜ではどの国でも,子供がはしゃぐものなのだろう.明け方,7分丈のシャツだと少し肌寒さを感じる中,ベンチから浜を眺めながら,煙草に火をつける.筋肉質のおじさんが数人,なかなかのピッチを刻んでジョギングに励んでいる.昨晩のビーチと違い,明け方のビーチは男の世界だ.そんな中ふと目をやると,女が一人階段に腰掛けて黄昏れている.無人島の浜に,女一人と男が数十人という舞台設定の桐野夏生著『東京島』(新潮文庫)をベンチで読みながら,目をつむり,目の前の情景と重ねてみた.いい朝の始まりだ.

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【5. アイリッシュダービーへ】
アイリッシュダービーは,世界4大ダービー(英ダービー,仏ジョッケクルブ賞,米ケンタッキーダービー,と,愛ダービー)の一つである.野毛で餃子やフライやパタンやホルモンを,ビールや紹興酒や正1合の日本酒であおりながら,競馬新聞を広げては予想し,横浜のウインズで馬券を買って,を繰り返すのも,週末の日中の過ごし方としてかなり好きな方だ.対して日本の競馬場は,G1ともなると,ジャパンカップ,日本ダービー,有馬記念,宝塚記念,NHKマイルカップ,高松宮記念と,関東も中部も関西も一通り足を運んだが,例外なく決してマナーがよいとは言えない大勢が大挙して集まり(あえて言葉を重ねて),とても疲れるから,もう好き好んでは行かないだろう.海外のG1の事情はどうなのか,かねてからとても興味があった.

インターネットにて42.0EURで予約したアイリッシュダービーのMy order reference numberのメモを手に,アイリッシュダービーが開催されるカラ競馬場へと鉄道で向かう.ダブリン・ヒューストン駅7番ホームからキルデア行きに乗るも,乗客は1車両1人程度と至極まばらだった.東京競馬場へ通ずる京王線も,中山競馬場に向かう京成線も,中京競馬場に行く名鉄も,京都競馬場ーー宝塚記念が京都開催でディープインパクトが圧勝した2006年に訪問ーーへ続く京阪も,競馬新聞を持ったおじさんや,兄さんの集団でごった返していたことを思うと,拍子抜けでもあり,期待が高まった.

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キルデア駅から無料バスで降り立ったのは,緑の芝で覆われた駐車場だった.おじさまは,ほぼ例外なくジャケットやスーツを着こなし,若者がまるで目に入ってこない.いたってクリーン,いたって爽やか.

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チケット交換所のBox Officeと入場ゲートの前では,民族衣装の演奏が響く.バグパイプの音色が開放的な空間に心地よさを増す.誰一人取り囲んで携帯電話を構えて写メを撮っていない.皆距離を置き,単に景色に溶けた彼らを見ている.

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入場ゲートをくぐる.最初の印象は華やか!日本の競馬パーソナリティ鈴木淑子さんがかぶるような大きく派手な帽子を,大抵の女性がかぶっているではないか.日本では淑子さんと,馬主の夫人くらいなのに.そして,ドレスの着こなしと合わせて慣れたもので,似合う.何より,日本人が纏うとつい出てしまう恥ずかしさが微塵もなく,素敵だった.

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馬の周回前のパドック.ネクタイにスーツを決めた紳士が両脇に離れて立ち,パドックにレモン色のドレスに帽子が映えますね.テレビカメラが熱心に女性を撮影してコンペをしてたようですが,この方がファッションコンペティションで優勝したのかな?

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この少女3人組も,数年の後にはドレスに帽子をまとってやってくるのでしょう.先輩のよき伝統を,素直な心で継承して行っている気配を感じます.そして,見渡す限り遮蔽物がない,まさに「丘」といっただだっ広い自然なコースに,雲がぐわんと張り出し,開放感がたまりません.

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全レースのゴール地点です.2008年からドバイデューティーフリーがスポンサーになっているようで,少し拍子抜けですが,それでこそ国際競争という見方もできるのかな.確かにアイルランド企業というと,航空や銀行など地元に根を張る企業は置いておいて,グローバル企業ということで思い浮かべると,ギネスとアクセンチュアしか出てこない.アクセンチュアは米国色が相当強いし.パブで日々酒が飲めれば満足なお国柄なのでしょう,きっと.

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うーん.サマになる着こなし.馬場を横切った白いテントがVIP用みたいで,シャンパングラス片手に談笑する紳士・淑女が見えました.日本の競馬場だと,馬主などの次のファッションセンスは,競馬新聞を片手に持ち耳には鉛筆はさんだおじさまか,彼女に自分の競馬趣味をなんとか理解させようと連れてきているカップルか,でしょうが,アイルランドは競馬場にお洒落して来る意識の層がなんと厚いことか.

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各ブース,パラソルテントの裏側ではパソコンでオッズを計算し,思い思いの倍率を定めています.未成年の少年らしき姿も見かけましたが,若く見誤ったただけだったのか!?

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開放的な競馬場の芝生に体を投げ出して,座るのはなんとも気持ちがいい.ドレスやスーツを着てもそれは同じ.なんと言っても,競馬新聞も外れ馬券も,飲みかけ食べかけのゴミも,一切散らかってないのが衝撃的でした.完全にアイルランドの競馬場の惚れています.

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さーメーン競争のバドックです.国旗を広げ,ステージでは合唱がありました.やっぱり周りには高い建物がまるでなく,とっても開放的.大レースなのに,こじんまりと清潔感に溢れている余裕がたまりません.

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日本のパドックは前のレースが終わるとすぐに20分くらい騎手を乗せずに,厩務員が手綱を引いて馬が周回をし,騎手が騎乗しての周回はほんの数周です.対して,アイルランドはいきなり騎手が乗って周回を始め,ほどよく馬場に出て行くようで,日本の周回が長いなと感じていた私には,やっぱりこんなもんだよねーと共感が持てました.

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おいおい,完全に未成年です.でも,馬券は買えてしまうようです.1ユーロでも,数10セントからでも馬券は買え,小遣いを増やすことが出来ます.小さい頃から金を使い,動かすことは,失敗の度合いに対して大人の目が行き届く範囲であれば,いいことだなー,と頭をよぎりました.

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馬券とレースプログラムです.新聞が地面に落ちていないのは,この3EURのレーシングプログラムしか場内で紙情報を売っていないからです.この馬券は,後述の表の通り,2EURが36.6EURに化けてくれました!.やっぱり,アイルランドでも日本同様に,単勝10~20倍くらいの中穴くらいを狙うスタイルで馬券は買いました.

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メーン競争が近づき,人が集まってきます.片手にはレーシングプログラム,片手には双眼鏡というスタイルが多かった.日本だと片手には競馬新聞,片手には携帯電話,が多いです.やっぱり全体的に年配者が多く,当然騒いだりせず,落ち着いた面持ちでレースの開始を待ちます.

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再三の記載になりますが,開放的!の一言.さて結果は!?

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以下が収支でした.

レース購入馬券払い戻し
Race1(1:45p.m.): Full Of Surprises European Breeders Fund2EUR WIN: SNOW WATCH(D P McDonogh)0
Race2(2:15p.m.): Sapphire Stakes2EUR WIN: GLAMOROUS SPIRIT(K Fallon)36.6EUR
Race3(2:45p.m.): Double Millionaire Handicap1EUR WIN: MAUNDY MONEY(C O'Donoghue)0
Race4(3:15p.m.): Railway Stakes1EUR WIN: OOR JOCK(P J Smullen)0
Race5(3:50p.m.): Sweepstakes Race2EUR WIN: ARGANIL(K Latham)
3EUR WIN: AIR CHIEF MARSHAL(J P Murtagh)
5EUR WIN: CALM BAY(D C Byrne)
3EUR WIN: INVINCIBLE ASH(G F Carroll)
84.9EUR
Race6(4:30p.m.): Celebration Stakes(Listed Race)2EUR WIN: CHOOSE ME(D P McDonogh)0
Race7(5:10p.m.): Irish Derby10EUR WIN: COORDINATED CUT(J P Spencer)0


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