ベルギー・オランダ酒行

2009年7月末,ベルギーを訪ねる.目的はただ一つ.地元でベルギービールを飲む! 垂涎状態で,舌のざらつきに,肝臓に,脳裏に,喉越しに,酒をしみ込ませた.日本からの直行便があり,安い航空券が手に入るオランダを経由した.オランダ・ジンのジェネバは,格別の蒸留酒であった.

都市間は電車で,都市内は徒歩で,移動した.「4キロ」なんて,時間をたっぷり作る楽しみに満ちた旅では,完全に徒歩圏内で,脇道にそれ,いかつかったり,あでやかだったり,怪しかったり,と,適度な凹凸のオーラを放つ現地人を少し尾行してみたり.所謂ガイドブックに載る観光地を巡る趣味が乏しい私にとって,地べたを歩く行為は,遅いけれど,なんとも発見が多い移動手段になる.オランダでは風車を見に行ってない(車窓から見えたけど)し,ベルギーでチョコレートさえ食べないで,10の都市を歩いた.

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地元民の空気にとけ込むことを最優先に,たらふく飲んだ.まずは,10日間の旅程で飲んだ酒を,ズラッと書き上げる.

〓〓 1日目 2009/7/25 成田→Amsterdam→Antwerpen 〓〓
Yebisu 大成田空港 銀座LION1000JPY
Heineken Bier×2KLMオランダ航空機内Free
赤ワイン ミニボトルKLMオランダ航空機内Free
Amstel Bier vaasje(Draft)Schiphol空港内ブラウンカフェ2.8EUR
Heineken Bier(500ml缶)Amsterdam→Antwerpen鉄道内2.2EUR
DuvelAntwerpen中心部のレストラン3.5EUR
Stella Artois×2Antwerpen駅前シーフードレストラン5EUR
〓〓 2日目 7/26 Antwerpen→Kortreijk→Poperinge→Brugge 〓〓
Hoegaarden WhiteKortreijk駅構内のビアカフェ2.2EUR
Grimbergen DubbelPoperinge駅前の渋いビアカフェ2.5EUR
Hommel Bier×2Poperinge駅前の渋いビアカフェ3.6EUR
Vanuxeem BavikPoperinge駅前のカフェ1.3EUR
Brugse Zot BlondKortreijk駅構内のビアカフェ3.4EUR
3 Fonteinen Oude GeuzeBruggeの渋いビアカフェ5EUR
Taras BoulbaBruggeの渋いビアカフェ2.75EUR
〓〓 3日目 7/27 Brugge→Brussels 〓〓
Geuze sur Lie(Mort Subite)A la Mort Subite @Brussels3.9EUR
JupilerMetropole Hotel @Brusselsのカフェ3.9EUR
La Leon(50cl)Chez Leon @Brussels6.8EUR
Chimay BleueAu Bon Vieux Temps @Brussels?? EUR
Leffe Brown/BruneBrusselsのカフェ3EUR
〓〓 4日目 7/28 Brussels→Libramont→Florenville→Brussels 〓〓
Cristal(ペルー)Brussels Central→Libramont鉄道内1.25EUR
Rochefort 8Libramontのカフェ3.2EUR
Orval×2Orvalのビアカフェ5EUR
Pauwel KwakFlorenvilleのカフェ3.5EUR
Kriek(Mort Subite)Chez Leon @Brussels3EUR
Westvleteren 12Au Bon Vieux Temps10EUR
〓〓 5日目 7/29 Brussels→Amsterdam 〓〓
Leffe Blondeグランサブロン広場のカフェ @Brussels3.5EUR
Westmalle Tripleグランサブロン広場のレストラン?? EUR
Stella Artois(Draft)Brussels Central駅構内のカフェ1.5EUR
MaesBrussels→Amsterdam鉄道内1.25EUR
Jagermeister(ドイツliqueur)Amsterdam駅近くのバー3EUR
Heineken Bier(Draft)Amsterdam駅近くのバー1.9EUR
〓〓 6日目 7/30 Amsterdam 〓〓
Amstel Bierオランダ国立博物館前広場2EUR
Murphy’s Red(Pint,英国)巨大チェス盤の広場側 @Amsterdam5.4EUR
Amstel BierCafe Hoppe @Amsterdam?? EUR
Bessen JeneverCafe Hoppe @Amsterdam?? EUR
Dommelsch Bier×2Amsterdamのバー4.4EUR
Palm Bier(ベルギー)Amsterdamのバー1.9EUR
〓〓 7日目 7/31 Amsterdam→Ede Wageningen→Amsterdam 〓〓
Bavaria BierDriebergen-Zeist駅売店2EUR
Amstel Malt(ALC0.1%!!)Kroller Muller Museum内レストラン?? EUR
Heineken BierEde Wageningen駅売店2.2EUR
Citroen(シトゥルー) JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
Bramen(ブラーム) JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.4EUR
Aardbei(アーベイ) JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
Appel(アプォー) JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
Heineken(Large)Manofa Hotel 1Fレストラン5EUR
〓〓 8日目 8/1 Amsterdam 〓〓
Amstel Bier(Pint)Cafe Hoppe @Amsterdam4.75EUR
Young Hoppe JeneverCafe Hoppe @Amsterdam2.3EUR
IKI Bier(ゆず+煎茶,ベルギー)巨大チェス盤の広場 @Amsterdam4.1EUR
Paren JeneverAmsterdam Hotel 1Fレストラン3.75EUR
Citroen JeneverAmsterdam Hotel 1Fレストラン?? EUR
Framboos JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
Kersen JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
Amstel BierAmsterdam駅前通り出店で踊りながら3EUR
Heineken Extra Cold(Pint)Dam広場近くのバー @Amsterdam5.5EUR
Dommelsch BierGo Go Bar @Amsterdam10EUR
Citroen JeneverWF(Wynand Fockink) @Amsterdam2.2EUR
De Koninck(ベルギー)Manofa Hotel側のレストラン4.0EUR
〓〓 9,10日目 8/2,3 Amsterdam→成田 〓〓
Affligem(Draft,ベルギー)Schiphol空港内ブラウンカフェ3.85EUR
Sol(ライムを添えて,メキシコ)Schiphol空港内ブラウンカフェ4.8EUR
Amstel Bier Fluitje(Draft)Schiphol空港内ブラウンカフェ2.7EUR
Amstel Bier vaasje(Pint)Schiphol空港内ブラウンカフェ5.6EUR
Heineken Bier(Pint)Schiphol空港内のカフェ4.8EUR
Murphy’s(Pint,英国)Schiphol空港内のカフェ4.8EUR
Heineken Bier(Pint)Schiphol空港内のカジノ4.8EUR
Budビール(米国)Schiphol空港内のカジノ2.8EUR
Heineken BierKLMオランダ航空機内Free
白ワイン ミニボトルKLMオランダ航空機内Free
日本酒 常温 2合神田まつや1300JPY


朝から飲み始める.昼,どんよりした頭を下げて,絵画をゆったりと見る.夜,また,飲む.西洋人の美術館での振る舞いはスマートだ.なめるように,流れるように,思い思いに鑑賞する.絵や歴史に対する教養が滲み出た視線を送る.中国人観光客は,お目当ての絵を,足早に,割り込んで鑑賞していたのも,国民性がよく出ていた.

絵の評価は,私的に3段階からなる.1「足が止まる」.2「絵の中に自分が吸収される」.3「閃きや発見が脳裏を走る」.中でも,ゴッホが描く一見太い線には無駄がなく,力強く,色・線の流れには日常感じ得ない驚きや発見が充満していた.そんなゴッホの作品を,100点以上見た.ベルギーで食べたムール貝の殻のように,感性のバケツは溢れたが,食後には,芳醇な香りが漂い,滴る残り汁の煌めきが活力を与える.

美術館 主な作品 感想
ベルギー王立美術館
(ブリュッセル)
ルーベンス「聖リヴィナスの殉教」
ブリューゲル「イカロスの墜落」
入場は2EUR(ユーロ).だだっ広く,人は少ない
別棟の地下8階から地下2階まで仔細に近現代美術を見ると,軽く3時間経っていた
いい時間の使い方をしたなと,1600年代の重厚な絵画を見回る頃には足が棒になる
アムステルダム国立美術館
(アムステルダム)
フェルメール「牛乳を注ぐ女」
レンブラント「夜警」「自画像」
建物は改修中で,新館の1Fは興味がない骨董品が並ぶスロースタート
新しい階段を2階へあがるとレンブラント「The Stone Bridge」の前で足が完全に止まる
無駄がない構図,描写力に頼らない力強さ,光の加減
ファン・ゴッホ美術館
(アムステルダム)
ゴッホ「カラスのいる麦畑」
「自画像」「ひまわり」(6作目)
どの壁をみても,一面ゴッホ・ゴッホ.ゴホゴホ咳き込んでいはいけない
駄作がない.麦,ひまわり,太陽,家の壁,ベッド,黄色!が映える
黄色が持つ,色の幅広さ,奥行き.ゴッホと絵画のみが持つ力に違いない
クローラ・ミュラー美術館
(エーデ・ワーゲニンゲン)
ゴッホ「夜のカフェテラス」
「ジャガイモを食べる人々」
「アルルの跳ね橋」
クローラー・ミュラー夫人が集めたゴッホの油絵・素描画300点近く!!
静謐な森に佇む
ファン・ゴッホ美術館と連日のゴッホ巡りは深淵の至福だ


コンパクトなフィルムカメラを持って行ったので,熱心な写真家ではないながら,気づいたらシャッターを押した.

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【アントワープ駅の始発】
夏のベルギーは夜22:00だとまだ明るく,日が変わるとすぐ明るくなる.静かな早朝のアントワープの駅は,重厚で伝統的な歴史的建造物ながら,整然とした姿はモダンだ.ベンチに腰を下ろして,のんびり見上げれば,アーチが,日射し越しに晴れのサインを届け,よい一日を予感させてくれる.

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【子供が元気な国】
ホップの産地ポプリンゲの方に,ハイキングに行くと言う子供たち.引率は高校生主体で,ガール・ボーイスカウトと言った感じ.皆,笑顔で,女の子が男の子にちょっかいを出して,騒いでいるのを見ると,何とも言えない心地よさに浸れる.日本の子供より,総じて元気で,活動的に見える.

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【全部飲みたい】
銘柄ごとに異なるビアグラス,ビアマグがさんさんと天井できらめく,ベルギーのビアカフェ.ビアリストをめくるだけで喉が鳴り,目移りする.ベルギービールはアルコール度数10度を超える銘柄もざらなので,ごくごく飲むと,ことの外酔っぱらうことになるのだが..客層は老若幅広く,常連連中は,分け隔てなく笑顔で喋りあう.閉塞感のかけらもない飲み屋など,日本にどれくらいあるのだろうか!?

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【広場を流れる時間@グラン・プラス】
広場が好きだ.日本の公園とは違う.老若男女が公然一体となって思い思いの時間を楽しむ場.イラン・イスファハンのイマーム広場は,水や木が溢れ,金曜には礼拝者でごった返し,だだっ広く,モスクがあり,イスラムの,中央アジアの渾然一体とした香りがあった.ベルギーはブルージュのマルクト広場,並びに,ブリュッセルのグラン・プラス広場は,石畳で,荘厳な建造物に囲まれ,キリスト欧州の雰囲気そのもの.共に世界遺産で,朝・夕・日暮れ,広場の傍らに腰掛け,何10分もボーっとする時間はなんとも楽しく,旅情を刺激する.イマーム広場と違い,ビール片手に過ごせるしね.

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【オルヴァルで飲むオルヴァル】
ベルギービールを飲み始めた頃,すぐ虜になったオルヴァルビールを飲みに行く.時刻表を手に入れ,電車を乗り継いでフロランヴィルに来るまでは容易であったが,駅前は道が1本のみで,店はなく,家がまばらにある程度の寂しい田舎町,焦る.幸い,オルヴァルに行くという老夫婦とバス停で出会い,ついて行く.ビアカフェで早速オルヴァルビールを飲む.味はベルギー--日本の輸出入がきちんとしているせいか,日本で飲むのとさして変わらないながらも,本場で飲む空気感は高揚を誘う.脇道を入ったオルヴァル修道院の外観を訪ね,さて帰路.待てどもバスやタクシィの気配がない.道端の看板には目的の『フロランヴィル 8』という立て看板が有る.道は行きにバスで来ているので,歩けると判断.林道をひたすら歩く.1時間経過.まだ林道.獰猛な犬等の動物が姿を現したら咬まれて終わり,そして,『8』の単位はKmでなくmile(1.6Km)か,という悲壮感が終止頭を過る中,天からふる日差しにより,扇子を振っても,顔は汗がだらだらである.手を上げても,車はまるで止まらずヒッチハイクが出来ない.アウディ,ベンツ,BMWと言った,日本で言う高級車が普通に行き交う.途中,熱中症と脱水症だという思い込みで,もう駄目かなと思い始めた矢先,民家が見える.庭に水やりをする婦人が見え,すがる思いで水を求める.コップ一杯の,恐らく水道水だったけれど,恵みの一杯だった.どうにか『フロランヴィル 3』の看板に勇気づけられ,単位はKmと確信し,歩き,到着したフロランヴィルの中心地.クワックビールで一息ついて,どうにかバスで駅まで送ってもらい,ブリュッセルに戻った.

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【ザ・金髪ビューティー】
金髪,大きな口が讃える笑顔,流暢な英語のきさくな会話,スラリと伸びた足,引き締まったボディーライン,いいね,金髪美女.「きさくな会話」を残して,歳をとるにつれ,急速に,丸々としたおばさんになってしまうんだよなぁ.

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【カワイコちゃんたち】
原宿のコンドマニアより趣向品は少ないけど,店内レイアウトが洒落たアムステルダムのCONDOMERIE.大きめサイズのコンドームを土産に買って帰ったら,成田の税関で訝しがられることに.アムステルダムは若者が本当に活き活きしている.エロスが効いている.川崎に見かける小窓から俗女が目を合わせて来るチョンの間が目抜き通りに堂々と点在し,交渉次第だろうけれど,140EUR程が相場.まさにピンキリの女が,一般人行き交う通りの脇から迎える.黒人が遊女と交渉し,断られているサマを見るだけで微笑ましい.

Benelux_8
【西欧の空の下に】
改修中のアムステルダム国立美術館の建築よりも,旅情を刺激する「異国」はなんと言っても,空の色と雲の漂いだ.

Benelux_9
【やはり広場はだらんと】
平日の昼間っから,広場に繰り出し,座り込み,雑談を楽しむ面々.日本だと,浮浪者か,落ちこぼれか,駄目な若者,と見られがちだが,どうしてどうして.貯蓄にはげまなくたって,暮らせて,飲みたい酒がたしなめる金があれば,後は自由じゃないか.と言いつつ,むしろ前者にも重きを置いている私..

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【朝のビールとジェネバと新聞】
オランダ・ジンをジェネバと言う.ジェネバを,多くのベルギービールのようにコクはないながら,喉越しさわやかなハイネケンに代表されるピルスナー系のオランダビールのドラフトで,口休めするのがオランダ流だ.日本のバーだとウィスキーに氷水が出て来るが,水じゃなくって,ビールという考えがなんとも好き.朝からカフェに繰り出し,ジェネバ&ビールを飲みながら,新聞をめくる.なんて優雅なんでしょうか.それにしても,奥に写っている女子同士の顔が近いな.

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【ゴッホの聖地を訪ねて】
アムステルダムから電車とバスを乗り継いで,緑溢れる森の中のクローラ・ミュラー美術館へゴッホの絵を詣でに行く.箱根の森美術館がここを真似したのでは?という立地のなか,『美の巨人たち』(TV Tokyo)で取り上げられた絵画の面々を,次々に生で,間近で,自由に見る.

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【嗚呼 既にジェネバの虜】
アムステルダムでは,散歩中にたまたま見つけた,洒落た路地裏のWFというバーに入り浸る事になった.フルーツ浸けのジェネバが見せる,多種多様性に驚く.タバコをふかし,話しにふけるアムステルダム市民の憩いの空間に身を寄せてくつろぐ楽しさと言ったらない.WFで飲んだCitroenジェネバは忘れられない数少ない酒(他,海外だと紹興の威亭酒店で飲んだ紹興酒)として,舌のザワメキを通して,脳裏に刻まれた.薄黄色く澄んだエキスに柑橘系の皮だか身が漂い,舌にねっとり,からまりつく.圧縮された果汁とアルコールエキスを残して,腹をカッと熱くする.

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