楽天観戦・牛タン・寿司

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夕暮れの仙台,楽天のクリネックススタジアム宮城球場にいる.自由席入場料1,400円で,楽天サイドのレフト外野席に腰掛けている.太陽からの残波が眩しく,応援団の子が,程よく肩の力を抜いて,でも熱心に小気味よく太鼓を叩くのを聞いて,思う.

学生時分は,時間が出来ると,北に足が向くことが多かった.北の拠点は,堂々,仙台である.八戸から青森を経て,海峡線で北海道に行く(当時は快速「海峡」が青森〜函館を結んだが,2002年に廃止され,現在は鈍行乗り継ぎでの北海道行きはスムースに出来なくなっている)通過点として,或いは,内陸の山形方面に,時々の思いを乗せて,作並温泉,天童で将棋,かみのやまで馬,米沢で牛を目当てと言った具合に,年に何度も仙台で下車し,通過した.時は経ち,7年ぶりに仙台に降り立ったものだ,と.

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赤や臙脂(えんじ)をカラーとした楽天の応援は,ファンであるカープと同じだから,どことなく馴染み深さを覚える.Bクラス常連というのも,それに輪をかける.アルプスには,ユニフォームに身を包んだ若い女性が多く目に付き,声を張って応援している.選手ごとの応援歌を書いたカンニングペーパーを掲げる応援団の方を,いや正直に応援団が持つ紙を直視しながら,負けじと,真似して,にわか声援を送りながら,食した牛タンについて思う.
  • 喜助(一番町本店)
    • 1,170円,塩焼タン8枚,肉厚・塩分高め・美味
  • 名代ちの
    • 1,350円,ミックス6枚(味噌×2+塩×4),細身・割高・もの足りず
  • 利休(西口本店)
    • 1,155円,塩焼タン8枚,繁盛・網の焦げ目・スタンダード
顎(あご)を使って歯ごたえ充分の牛タンを噛にに噛んで,口中を肉のエキスで充満させる.合間に,日本酒・浦霞の冷や(=冷酒ではなく常温のこと)を口に含み,ほっぺの裏側に残った肉汁と混ぜて,口をもぐもぐする.嗚呼,ガツガツとサラサラが織りなすカオスである「コク」を愉しむのが牛タン食いの醍醐味なり.利休は再訪であったが,通りに面した1階から,近くのビル中に場所が変わり,店舗は拡大,内装が安くなり,時の経過が与える残念さを実感した.

 
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花火やチアリーダの動きで目と身体を休めながら,味わってビールを飲む.ビールの注文はサントリー・プレミアムモルツの濃紺のユニフォームを着た同じ売り子さんを狙い撃ちにする.今年は,広島のマツダスタジアム,甲子園,そして,仙台の楽天球場と,遠征して,まったりと野球を観戦する機会が多かった.改めて,野球は球場に足を運んで,気に入った売り子さんの動向を気にしつつ,満タン15キログラムのサーバーからビールを減らす労りの精神を持ちつつ,生ビール飲みながら,生で見るのがいい,と思う.

これで,プロ野球の完全ドーム型以外の本拠地スタジアムは,楽天(仙台),西武(所沢),神宮(ヤクルト),横浜(横浜),阪神(甲子園),広島(広島)を訪ねたので,残すは,ロッテ(千葉)を残すのみである.住まいと同じ関東圏,案外距離が近い方が,足が遠のくという,傾向は確かにある.

 
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国分町で萠っとマキシムに2回ほど汗を流し,いざ久方ぶりの塩釜へ仙石線で向かう.仙台駅の仙石線のホームは,長い階段と通路を経たところに座し,当時と変わっていなかったのが,懐かしさを伴って少し嬉しい.塩釜は寿司の街である.初めて訪ねたのは,まだ酒も公に呑めない高校生の頃で,鮨しらはたに一人で訪れた.次いで,関連性は結局定かではないけれど,しらはたつながりで,数年後,玉村豊男の本で知った白幡恭三さんが握る,すし哲で食べて呑んだ.カウンターに腰をおろした若造に,他のネタは弟子に任せ,白幡さんはマグロ赤身のみを自ら握ってカウンターに置いてくれたことを鮮明に覚えている.そして今回は,仙台出身の元大洋ホエールズ&横浜ベイスターズの佐々木主浩氏が贔屓にしているとTVで見た,亀喜寿司に座った.
  • 亀喜寿司
    • 貝づくし 8カン 2,500円
    • 浦霞 純米吟醸禅1合 1,000円
    • 浦霞 生しぼり1合 500円
    • 一の蔵 大和伝1合 700円
    • 牡蠣刺身 2コ 1,260円
    • 四季の松島 1合 1,050円
    • 秋刀魚刺身 3カン 1,260円
美味い!.それにしてもテーブル席や座敷を好み,季節盛合せのにぎりとお茶で帰る客が多く,びっくりした.カウンターに座り,酒を呑み,旬の食べたい魚をお好みで,時折職人との魚に関する会話を交えて食べるのが寿司屋に行く醍醐味ではなかろうか.人それぞれ,好きずきはあろうが,前述の客は,出前でも回転寿司でも喜びはさほど変わらないのでは,とお節介を巡らせた.

炎天下の中,歩いて戻り,汗をひこうと入った本塩釜駅前の喫茶店「ルポール」では,マスターをはじめ将棋愛好家の憩いの場で,ついマスターと客と将棋を指し(結果は1勝[但し一度時間切れになった....]:1負),大分くつろいだ.塩釜で偶然同じ名の看板を見かけたが,結局仙台・国分町のおでん三吉への再訪の体力は十分に残っておらず,たっぷり充電した余力を持って,家路についた.

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