カープ新球場へ乗り込む

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2010年5月16日,セ・パ交流戦の日本ハムファイターズ2連戦の2戦目.雄琴で百合の華一杯の風呂をひと浴び,彦根で知人と飲んで,新幹線でも500ml缶を次々に空にして,終電で広島に入る.駅前から乗り込んだタクシィで,繁華街流川に向かう途中,運転手さんと会話.低音が素敵なおっちゃんが,今日はマエケン(前田健)が,ダルビッシュを抑えよった,と上機嫌.明日観戦するのだ,と伝えると,応援よろしく頼むわ,と一体感が生まれ,つい降りる際「釣りはいりません」.2年前に市民球場を訪れたときに,前田健が先発して阪神に勝ったことを思い出す.流川からメールで1時間後に行くと送り,了解の旨の返事を待ち,路地を流れて,薬研掘で花魁姿に接近を.そして,朝2時頃に大通りの知人宅に転がり込んで,即ぐっすり.

ヘルシィな朝食を食べて,原爆記念館やら平和記念公園まで散歩して,Uターンをして,広島駅前を通って,マツダスタジアムまで炎天下の中ぶらぶら散歩を楽しむ.肩からは鞄を,腕にはジャケットをかけ,身軽さはないけれど,慣れない街を歩くのは楽しい.正面窓口でネット予約の振り込み証明とチケットを交換してもらう.

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歩く途中で目を付けていた,駅そばの商店街にある,お好み焼き鉄板焼き「りゅう」にUターンをする.店構えは清潔感よりも,地元に馴染むことを大事にし,何より旨そうな香りがぷんぷんしてくる.旅と飲み歩きを重ね,店が発する匂いをかげるようになった気がする.突入.どーんと鉄板,その前に数席ある.連れと合わせ,生ビール×2とねぎ焼き,広島スペシャルを注文する.どうも「ねぎ」という言葉に弱い.茅ヶ崎の杏庵に行ってもついつい「ねぎ」焼きだし,ラーメン屋に行けば「ねぎ」ラーメンか,結局同じ意味のトッピングで「ねぎ」.酒飲みとして,体をいたわって,風邪が予防できるという漠然とした思いから,頼んでしまうのだ.大将は手際よく生地を薄くしき,キャベツをのせ,ソバを炒め,お好み焼きの形にしていく.『広島のお好み焼きの具は,キャベツ,もやし,豚,ねぎに決まっている』『この,細長いもやしが入らないと広島のお好み焼きじゃない』『イカ天を入れるのが広島流で,こくが出る』『鉄板など家庭じゃ道具が揃わないから広島のお好み焼きは作れない』とのこと.

食す.旨ー!.『ねぎ焼きとお好みを2人で分けるの?失敗したね.広島のお好み焼きは一人で全部食べるようにできている』『へらで小ちゃく切って食べるんよ』『広島のお好み焼きは皿と箸は使っちゃ駄目』『へらで切るときは5本指でしっかり握らないと,厚いお好みは切れない』『駄目駄目,ビールのジョッキは必ず利き腕と反対におかないと,へらで切るときひっかける』.あれこれ言われるが,いかんせんねぎ焼きもお好み焼きも旨かった.満腹,満足で,マツダスタジアムに戻る.にしても,暑いなー.

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試合開始1時間弱前に到着.コンコースで球場をぐるっと一周できるのが嬉しい驚きで,愛知万博を思い出しながら,ゆったり酔いどれて一周する.外野には「寝ソベリア」というピンクのソファーシートがあって,くつろげそう.でも今日みたいな炎天下だと,暑さに溶けながら,ビールの空きコップを重ねてしまいそうだ.

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試合は初めて名前を聞いたカープの先発投手が,ボール先行で,四球で塁を埋めてあげては,ストライクを取りにいった球を外野に運ばれる最悪のテンポで,惨敗.2回訪れたカープの得点シーンで「カープ,カープ,広島カープ♪」の合唱と,7回の風船を楽しんで,ゲームセットを待たずに,知人を残して引き上げた.

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駅から路面電車に乗り込んで,中心街に再びUターンする.2年前に満員&長蛇の行列で諦めた八丁堀のお好み焼き屋「みっちゃん」を訪ねる.行列はおろか,客はいかにも観光客,空席が目立つ店内を覗いて,嫌な匂いを嗅いだ気がしながらも,せっかくの遠征なので中へ.テーブルに案内されて,というか,カウンターは座らせないよという店側の構えで,がっかり.ビールを飲みながら焼き上がりを待つが,当然鉄板がないテーブルに運ばれてきたのは,皿と箸.「りょう」の大将の『広島のお好み焼きは皿と箸は使っちゃ駄目』の言葉と,昼に食べたあの旨味が思い出される.「みっちゃん」で食べたお好み焼きは,関東で食べられる広島風でした.薬研掘でやり残した花火に浴衣を堪能して,日が暮れる頃に名古屋へ新幹線へ戻ったのだった.

後日談:広島駅で買うてきた広島産の原料だけで作ったそうな芋焼酎を飲みながらの応援も虚しく,瓶が空になった8月の頭には,またも今期Bクラス確定に向けてまっしぐらのカープである.しぶとく走塁や継投で僅差の試合をものにして,3位争いをしてほしいものだ.

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