市民球場・最後の阪神戦

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2008年9月7日,今期限りで閉鎖となる広島市民球場での最後の阪神戦が行われる.朝,新横浜から新幹線に乗る.ポッケには,数日前,かろうじてInternetで予約出来た外野自由席の観戦チケット.乗客は少ない.つい旅路では,車両のみんなが同じ目的地に向かっているのでは?と錯覚しがちになる.本音では違って欲しい,みんなどこかで分かれるはず,というか,そうなるに決まっている,と思っているけれど,ちっぽけな心を持った天の邪鬼なりの裏返し思想か.

新幹線の心地よい揺れでうま味増す500mlの缶ビールを飲み,時に眠り,乗客が「今」新幹線に乗っている理由を想像し,本を読み,を繰り返しているうちに,あっという間に広島に着いた.都心からここまで新幹線で来たのは,中学校の修学旅行で九州(博多)に行った時以来.当時はあれだけ長く感じた移動時間だったのに,歳をくって,時間の潰し方・時間の長さへの実感,が変化したのか,行き焦っているのか.

駅前の地図を見ると,宿を予定している国際ホテルがある,広島の中心街・八丁堀/流川や,その先にある,広島市民球場までは1時間程度で歩ける距離の模様.散策がてら歩き始める.と,途中,大通りの左にWins広島を見つける.駆けつけ一杯,運試しに,一勝負(結局外れた).Winsを出る頃にはいい時間になっており,何より尋常ではない残暑のため,路面電車に乗って稼ぐ.八丁堀まで.近い.駅間が狭い.気軽だけど,すぐ先に見える駅まで,路面電車ひっかけて移動しても150円.乗り降りはさかんで,広島人って横着気質か.

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ホテルにCheck Inして,作りの手際以外にさして感銘を受けないお好み焼きと,ビールを腹に入れて,市民球場まで歩く.汗が噴き出す.到着.対阪神戦,今年で市民球場がお終い,そして天から注ぐ真っすぐで強烈な日差しのおかげで,球場の外から熱気が充満している.土産,というよりは,汗をふくため,ミスター・カープ前田のロゴ入りの真っ赤なタオルを買い,首に巻く.

広島・ライト側の外野自由席へ.しかし,,席は熱心な地元ファンにより席がない.なんとか階段脇のコンクリに邪魔にならないよう小さく座る.グラウンドでは守備練習,アルプスはライト側が赤・白,レフト側が黄・黒のタイガーカラーで一杯,にしても暑く,早くも前田タオルが汗で重くなっている.酒の飲み過ぎか,近頃,汗をかく量が増えている.

ゲームは前田健の好投,広島の得点で順調に推移.が,階段席の狭さ,日差しで,心身ともへろへろに.そこへ,きっと私の露骨なへばり具合を見かねた,心優しいおっちゃんが,阪神側に知り合いがおるからと,自分の指定席券をくれ,礼する間もなく立ち去った.あったかいねぇ.ちゃんとした席に移動して暫く観戦して,5回に,やはり耐えられずに一時外へ出て,球場前の地下街「シャレオ」のイタリアンで,涼みながら,ジン・トニックを飲んでしまったのだけれど.球場に戻った後も,前田健の好投に打が噛み合って,あぶなげない勝利をおさめた.

1990前後の西武黄金時代に惜しくも3-4で敗れ(1986は引き分けを挟み第8戦までもつれた),その後,セリーグ内でもがいている,私が好きな「渋い挑戦者」カープの試合を,市民球場で観戦出来てよかった.帰りは,広島の百貨店福屋で,翌日に向けた洒落用品を買い込んで帰った.

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